資材の確認

認定申請を検討されている方は、まず現在使っている、あるいはこれから使おうとしている資材について、「有機JAS規格に適合しているかどうか」確認してください。苦労をして準備をすすめてきても、資材がひっかかって認定申請を取り下げなければならない、という事態が起こらないためにも、すべての資材について調べましょう。

有機農産物のJAS規格別表等への適合性評価済み資材リスト

平成23年度農林水産省「有機JAS規格制度等信頼向上委託事業」による適合性評価済み資材リストが公表されました。自分がいま使っている資材、あるいはこれから使ってみたいと思う資材がこのリストに載っていれば認定（申請）ほ場で使うことができます。

肥料・土壌改良資材の確認

まず、資材が「有機農産物の日本農林規格」の「別表１」の中でどの資材に該当するかを確かめます。例えば、
なたね油粕　→　「食品工場及び繊維工場からの農畜水産物由来の資材」　
生ごみ堆肥　→　「発酵した食品廃棄物由来の資材」

次に別表１の基準を満たしているかどうかの確認をします。
「食品工場及び繊維工場からの農畜水産物由来の資材」であれば、「天然物質又は化学的処理（有機溶媒による油の抽出を除く）を行っていない天然物質に由来するものであること」となります。

【油かすの原材料に関する見解】
油かす等は油を抽出する際にヘキサンといった有機溶媒を用いる場合が多いのですが、これは容認されています。また、同様に原料の菜種は有機栽培されていなくてもかまいません。ただし遺伝子操作された菜種は不可となっています（これについては現在経過措置期間中で2011年秋までは遺伝子操作された菜種から作られた菜種粕も使用可能となっています）。メーカー等に資材の確認をする際はこの点をよく説明しないと「うちはヘキサンを使っているからダメだ」とか、「原料の菜種が遺伝子組換えだからダメだ」などと先走った解釈をされて拒否されるケースが往々にして起こりがちですので、充分にご注意ください。

この別表１に具体的な名称が記載されていない資材は、「その他の肥料及び土壌改良資材」となり、その基準を満たさなければなりません。その基準は次のとおりです。ただし2011年秋に予定されている有機農産物の日本農林規格の改正で削除される見込みとなっていますので、十分に留意してください。

【その他の肥料及び土壌改良資材の基準】
「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌の性質に変化をもたらすことを目的として土地に施される物（生物を含む。）及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物（生物を含む。）であって、天然物質又は天然物質に由来するもの（天然物質を燃焼、焼成、溶融、乾留又はけん化することにより製造されたもの並びに天然物質から化学的な方法によらずに製造されたものに限る。）であり、かつ、病害虫の防除効果を有することが客観的に明らかなものでないこと。ただし、この資材はこの表に掲げる他の資材によっては土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進を図ることができない場合に限り使用することができる。」

※用語補足
燃　焼・・・光と熱を発して酸素と化合する反応。いわゆる燃えること。焼くこと。　例）くん炭
焼　成・・・原料を加温または燃焼させて加工すること。　例）けいそう土焼成粒
溶　融・・・固体を熱によって溶かし液状とすること。　　例）熔りん
乾　留・・・空気を遮断して固体を加熱分解し、揮発成分を冷却・回収すること。　例）木酢液
けん化・・エステル物質にアルカリを作用させ、加水分解作用によりアルカリ塩とアルコールを生成させること。　例）石けん

調整用等資材（洗浄や保管上の品質保持等に用いられるもの）についても、肥料・土壌改良資材の確認と同様に、別表３に照らし合わせて、分類、基準を確認して下さい。この場合は、「その他の調製用等資材」となります。

農薬の確認

有機農産物の生産に農薬を使用する場合は、「有機農産物の日本農林規格」の「別表２」に照らし合わせて、次のことを確認しなければなりません。
「別表２にある農薬に分類されること」
「別表２の基準を満たしていること」
別表２には「その他の農薬」という項目はありませんので、記載されていない農薬は使えません。つまり、ストチュウなどの自家製資材は病害虫防除の目的で使用することはできません。
また、別表２に挙げられている農薬を使う場合は、農薬ごとに定められている「適用作物」、「適用病害虫」を厳守しなければなりませんのでご注意下さい。

別表２の農薬が使えるのは「有機農産物の日本農林規格」の「ほ場における有害動植物の防除」の項に記載のあるとおり「農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、耕種的防除、物理的防除、生物的防除又はこれらを適切に組み合わせた方法のみによってはほ場における有害動植物を効果的に防除することができない場合」に限られます。決して無制限に使える訳ではありません。

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