自然農法育成交配種は草勢が強い、味・品質がよい、病害虫に強い等、ある特定の形質が揃った固定種のような特徴を持った系統(個々体にバラつきはあるが、親自体が強い)を親にして組み合わせています(イメージ図)。
一般の交配種同様にF2世代の形質は個々に異なりますが、極端に弱い株が出現することは少なく、生育に大きなバラツキが出ないのが特徴です。
自家採種すると様々な個性ある株が出現してきますので、3~4年選抜を加えれば、他にないオリジナル品種を育成することができます。
市販の交配種は、遺伝子のホモ化を極度に高め、集団内の均質性を著しく高めた純系(両親のどちらかが病気に弱かったり、草勢が弱いなど欠点がある場合がある)を親にしています。
雑種強勢は起きやすいですが親自体が弱く、自然農法や有機栽培の環境で自家採種するとF2世代以降では、親に近い草勢の弱い株などが出現して不良個体の出現が多く、形質や生育のバラツキが大きくなることがあります。
自然農法環境下で草勢の強いものや耐病性に優れたもの等を母本選抜(タネを採る親株を選ぶ)によって似たような株の集団をつくり、遺伝的に安定した品種です。
すべて揃っているという意味ではなく、実際は、根や葉の形、大きさといった選抜を受けている性質が一定にそろっていて他の品種と区別できる品種です。
自家採種しても主な特性は変わりませんが、程よくバラツキを持たせているので、緩やかにその土地に合ったタネに変異していきます。
カブで例えるなら、固定種とは、根や葉の形や大きさ、タネまきから収穫までの日数など特性の一部がそろっている品種をいいます。
秋まき栽培するとそろいがよい品種を春まき栽培すると、根の太りが悪いカブが出て、バラツキが生じることがあります。
これは秋まきの作型(栽培環境)に対応する性質は固定していますが、春まきに対応する性質は固定していないというのが、固定種なのです。
地域の風土に適応した品種を自然農法環境下で選抜した品種です。
一般的に在来種はその地域の風土や栽培方法に適応した品種で固定種よりも遺伝的に雑ぱくな集団とされています。
地域の風土に適応した品種なので、ほかの地域で栽培してもすぐに能力を発揮できないものもあります。
当センターでは、在来種の特性や雑ぱく性を維持させるため、その品種が持つ遺伝的なバランスを壊さないよう、厳しい選抜は行っておりません。