公益財団法人 自然農法国際研究開発センター 公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

水稲の遅植え栽培について2017.7.19

ここ知多郡阿久比町では、普通期栽培の田植えは6月10日頃で推奨されており、当地域ではこの頃までに移植することが安全作期と考えられます。

しかし、イネはもともと熱帯性作物であるため、より暖かい時期に田植えをしたほうが、その後の生育は早く進みます。

毎年6月5日または6日は二十四節気の一つ「芒種」にあたり、昔は芒(のぎ)を持った植物の種をまくころとされてきました。

そこで、6月初旬に種まきをして1ヶ月間屋外で育苗し、7月初旬に田植えをする「遅植え栽培」を数年前から展示しており、今年も実施しています(F圃場・H圃場)。

過去の傾向では「遅植え栽培」をすると田植え後の活着は早く、田植え1週間後にはバネ量りで1.5kg以上の抵抗があるくらい根付いていました。

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水稲の強害雑草であるコナギもほとんど発芽せず、収穫まで無除草だったこともありました。

近年は、出穂後の高温障害回避やほばらみ期の冷害対策を目的に、公的機関でも取り組まれています。

ただし、遅植え栽培の留意点として下記4点のような指摘がされているため、慎重に取り組みます。

①出穂期が地域平均気温で24℃以下の日になるまでに迎えられることを見越して、田植えの時期を決定する。
→阿久比地域では平均気温が24℃以下になるのは9月20日以降なので、7月5日頃までに田植えできれば問題なさそうです。

②生育適温期間そのものは短いので、その地域で「極早生または早生種」に指定される品種を使う。
→当農場では、愛知県で育成された「あいちのかおり」を栽培しています。中生種に指定されていますが、出穂時期に問題なく、食味も良いので導入しています。

③栽植密度を密植にする。
②と同様に生育適温期間が短いことにより、分けつはそれほどしないため、植え付け株数を多くして単位面積あたりの茎数を確保します。当農場では56株/坪の設定で田植えをします。

④苗の葉令が中苗以上(4.0葉期以上)を移植する。
当農場では「みのるポット成苗」で育苗します。

写真3

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参考資料:水稲の晩植栽培(農研機構九州沖縄農業研究センター)

 

最後に……、遅植えしたH圃場ではゲンゴロウ?が沢山泳いでいました。(H.Y.)

写真4

圃場だより